目次EAGLEインデックス(1)


回路図作成のテクニック (2)

配線の種類によりパターンの太さを変える (Class)

プリントパターンは電源やグランドは太く、信号線は細くというように配線の種類によりパターンの幅を変えるのが普通です。パターンを描くときに一つずつ変えることもできますが、予めパターンの太さをCLASSとして登録しておき、回路図で配線を描くときにCLASSを指定すると自動パターンで希望するパターンの太さで描くことができます。

Classの設定
回路図作成ウインドウのメニューバーのEditから"Net classes..."を選択します。左のようなNet classesのウインドウが開かれます。

初期状態ではClass0としてdefaultのみが設定されています。最大8種類のクラスが設定できます。
下の例ではClass1を接地線のクラスとし、名称をgnd、パターン幅(Width)を36mil(0.036inches:0.9mm)、最小パターン間隔(Clearance)を10mil(0,01inches:0.254mm)に設定しています。また、Class2を電源線のクラスとし、名称をpower、パターン幅を24mil(0.024inches:0.6mm)、最小パターン間隔を8mil(0.008inches:0.2mm)に設定しています。
"mil" は1/1000インチです。
Class0の場合はDRC(Design Rule Check)で設定されている値が使われます。0milではありません。
左端のNrで選択されているクラスがNetアイコンで表示されるNet classの初期値として使われます。
default で使用される値はDRCで設定されている値になります。


Classの指定
例として下の回路を使って説明します。


Classを使って配線をするためにはNetを使います。
Netアイコンを押すと回路描画ウインドウの上部に以下のバーが表示されます。

Net classの部分で配線のクラスを選択することができます。信号はclass0、電源はclass1、接地はclass2を選択して配線します。

回路図では配線の太さは表示されません。



Infoアイコンで配線の属性を確認することができます。
+5VからVccまでの線にポインタを移動し、クリックすると電源線の属性が表示されます。


このウインドウで示されているWidthは回路図上での線の太さで、パターンの太さではありません。



ボード図を作成し、部品配置後に自動配線(Auto)アイコンを押して配線をしてみます。



信号線は細い線で配線され、次に電源線が太く、接地線が一番太くなっているのがわかります。
ちなみに、信号線は10milで描かれています。



念のためにInfoアイコンを使ってパターンの幅を確認してみます。

接地線はClass1(gnd) でパターンの幅が0.036インチ(36mil)であることが分かります。



Net Classを使って配線する場合に重要なことは、回路図からボード図を作成する前に回路図でクラス指定した配線をすることです。
ボード図を作成した後、回路図でデフォルトクラス以外を指定して配線しても、ボード図ではデフォルトのクラスが適用されてしまいます。この場合、回路図とボード図の整合が崩れ、それ以降、正常なパターンを描けなくなります。そのような状況でERC(Electrical Rule Check)を行うと以下のような警告が表示され、エラー状況が確認できます。
ボード図と回路図が整合していない。
ボード図と回路図の相互連携動作は失われる。


回路図とボード図でネットまたは信号として異なるNet Classesが使われていることを示しています。
GNDはネット名称、1は回路図でのクラス番号、0はボード図でのクラス番号を表しています。

このような状態になった場合には、回路図でデフォルトクラス(0)を指定し、その後、手動で配線の太さを変更します。または、ボードウインドウを一度閉じて、回路図から再びボード図を新規に作成する必要があります。この場合、部品の配置からやり直す必要があります。
もっとうまい方法があるのかも知れません。