回路ブロック 内部には3つの抵抗器が直列に接続され、電源電圧(Vcc)が3分割されています。これがミソです。電圧比較器(COMP1)のプラス入力端子には電源電圧の1/3、電圧比較器(COMP2)のマイナス端子には2/3の電圧が加えられています。トリガ端子(TRIGGER)が電源電圧の1/3以下ではフリップフロップ(FF)のS端子がHレベルでFFがセット状態になります。スレッショルド端子(THRESHOLD)が電源電圧の2/3以上になるとFFのR端子がHレベルになり、FFがリセット状態になります。
電源投入直後 電源が投入された直後、FFはQがH、がLの状態になります。がLであるので、TRはOFF状態であり、コンデンサ(C)にRaおよびRbの抵抗器を通して電流が流れます。電源が投入された直後はコンデンサ(C)には電荷が溜まっていません。ですから、X点の電圧は0Vからスタートします。X点がCOMP1のV1より低いので、FFのS端子はH状態になります。これによりQはH、はL状態になりますが、既にその状態になっています。一方、COMP2の+端子はV2より低いので、COMP2の出力はLになり、FFはこの状態で安定しています。 出力の反転(1) X点の電圧がCOMP1のV1を越えるとCOMP1の出力はLになります。しかし、この変化はFFの状態を変えません。X点の電圧がさらに上昇し、COMP2のV2に達するとCOMP2の出力がH状態になります。これにより、FFのR端子がHとなり、FFの出力状態は反転します。QがL状態、がH状態になります。この時、OUTはHからLへと変化します。がH状態となったことにより、TRはON状態となります。すると、今までRa、Rbを通してCに流れていた電流はRaとRbの接合点が接地された状態となるため、コンデンサ(C)には流れなくなります。逆にコンデンサ(C)に溜まった電荷はRb、TRを通して放電することになります。この放電によりX点の電圧が下がり始めます。X点の電圧が下がるため、COMP2の+端子の電圧はV2以下になり、FFのR端子はHからL状態に変化します。この変化はFFの状態を変えません。すなはち、FFのR端子がH状態になっているのは少しの時間だけです。 出力の反転(2) TRがONになっていることによりコンデンサ(C)の電荷は放電を続け、X点の電圧は降下します。X点の電圧がCOMP1のV1以下になるとCOMP1の出力はH状態となり、FFのS端子もH状態になります。これによりFFのQはH、はL状態に変化します。がL状態となったことにより、TRはOFF状態となり、今まで行われていたコンデンサ(C)の放電は停止し、コンデンサ(C)には再び、RaおよびRbを通して電流が流れ、電荷が溜まり始めます。コンデンサ(C)に電荷が溜まり始めるとX点の電圧が上がり始め、COMP1の出力はすぐにL状態となります。以後、この動作を繰り返してOUTには矩形波の信号が出力されることになります。 ここで、繰り返しの周期ですが、コンデンサ(C)が充電時(電荷を溜める)にはRaおよびRbを通して電流が流れ、放電時(電荷を逃がす)にはRbのみを通ります。ですから、充電の時間と放電の時間が異なります。 Raに比べてRbを大きくするほど両者の差は少なくなりますが、全く同じにすることは出来ません。同じにするにはRaを0Ωとすれば良いのですが、そうするとVccがTRに直接接続され、TRが壊れてしまいます。 Raを0Ωにしてはいけません。RaとRbの比を数倍くらいにすれば実用上は問題はありません。 |